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エピゲノミクス:慢性疾患を持つヒトでの個人DNAメチロームの長期的動態
Nature Medicine 24, 12 doi: 10.1038/s41591-018-0237-x
エピゲノミクスは遺伝子発現の調節に関わっており、また環境や生活様式により大きく影響されるため、個人に合った健康ケア、すなわちプレシジョン・ヘルスにゲノミクスと同様の重要性を持つ。我々は、1人のボランティア提供者から36か月間にわたって採取された末梢血単核細胞について、ゲノム規模のDNAメチル化と、それに対応するトランスクリプトームのプロファイリングを行い、28のメチロームデータセットと57のトランスクリプトームデータセットを作成した。DNAメチロームの変化はグルコースレベルの低頻度の変化と関連するのに対して、トランスクリプトームはウイルス感染などの事象の間に動的変化を経ることが明らかになった。DNAメタメチローム変化のほとんどは、臨床的に検出可能なグルコースレベル上昇が起こる80~90日前に生じた。高深度の個人メチロームデータセットの解析では、かつてない数の対立遺伝子DMR(differentially methylated region)が見つかり、これらは長期的に安定で、対立遺伝子特異的な遺伝子調節に選択的に関連していた。我々の結果は、さまざまなタイプの「オミクス」データに起こった変化は、対象となった個人のさまざまな生理学的状況(DNAメチル化は慢性疾患、トランスクリプトームは急性事象)と関連していることを示している。