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がん治療:がんでのPD-L1阻害に対する臨床的応答を評価するための非侵襲的手法となる89Zr-アテゾリズマブ画像化

Nature Medicine 24, 12 doi: 10.1038/s41591-018-0255-8

PD-1/PD-L1(programmed cell death protein-1/ligand-1)阻害は、複数タイプの腫瘍の患者の一部に有効である。しかし、PD-L1陰性腫瘍の患者の一部にも臨床的効果があるため、承認された診断法による有効性の予測は不正確である。また、生検を用いる検査はどのようなものであっても、侵襲的組織採取の際の誤りや制限を被りやすい。PD-L1に対する抗体を用いて陽電子放射断層撮影法(PET)による画像化を行った前臨床研究からは、この画像化法が患者を選別するための手法となる可能性が示唆されているが、このような技術には臨床での相当程度の進歩や検証を必要とする。本論文ではまず、ジルコニウム89で標識したアテゾリズマブ(抗PD-L1)を用いた画像化法の実現可能性を評価したFIH(first-in-human)研究の当初の結果(その生体内分布など)を示す。次いで、これを用いてPD-L1阻害に対する応答を予測できるかどうかを調べた(ClinicalTrials.gov identifier;NCT02453984およびNCT02478099)。アテゾリズマブ治療の開始前に3種類の腫瘍の患者22人について画像化を行ったところ、PETシグナル(トレーサーの曝露と標的発現の関数)は、リンパ組織と炎症部位で高かった。腫瘍での取り込みは一般的に高いが不均一で、腫瘍内、腫瘍間、患者内、患者間、腫瘍タイプ内、腫瘍タイプ間で変動が見られた。患者での臨床的応答は、免疫組織化学あるいはRNA塩基配列解読を基盤とする予測バイオマーカーよりも、治療前PETシグナルとよりよい相関が見られた。この結果から、PD-L1の状態や臨床応答の予測を評価するための分子PET画像化法のさらなる進歩が望まれる。

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