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白血病:前駆B細胞急性リンパ芽球性白血病の診断時に行う単一細胞による発生分類は再発の予測因子を明らかにする
Nature Medicine 24, 4 doi: 10.1038/nm.4505
再発の原因となるがん細胞集団についての知見は、転帰の改善に必要である。今回我々は、前駆B細胞急性リンパ芽球性白血病の診断時に行う単一細胞解析によって、発生に依存する隠れた細胞シグナル伝達状態を明らかにし、これは再発に独自に関連していることを報告する。マスサイトメトリーを用いて、60の一次診断サンプルで、B細胞の発生に関与する35種のタンパク質を同時に定量した。次いで、個々の白血病細胞について、単一細胞レベルで作動する発生分類システムを使って、最も近い正常B細胞集団とのマッチングを行った。機械学習によって、拡大した白血病細胞集団に見られる6つの特徴が明らかにされ、これらは診断時に患者の再発を予測するのに十分であった。このような特徴から、mTORシグナル伝達が活性化しているB細胞のプロBIIサブ集団、および無反応性プレB細胞受容体シグナル伝達が活性化しているB細胞のプレBIサブ集団が、再発と関連付けられることが示された。DDPR(developmentally dependent predictor of relapse)と名付けられたこのモデルは、現在確立されているリスク層別化法を大幅に改善するものである。DDPRの特徴は診断時に存在し、再発時にも存在している。我々は基礎から臨床への移行段階という条件下で、データ駆動型の方法を活用することにより、患者層別化に単一細胞「オミクス」が予測に有用であることを実証し、ヒトがんにこの方法を応用するための枠組みを提示した。