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がん治療:腎細胞がんでアテゾリズマブ単剤療法あるいはアテゾリズマブとベバシズマブの併用療法をスニチニブと比較した場合の応答の臨床活性および分子相関
Nature Medicine 24, 6 doi: 10.1038/s41591-018-0053-3
本論文では、未治療の転移性腎細胞がん患者305名において、アテゾリズマブ(抗PD-L1)単剤療法あるいはアテゾリズマブとベバシズマブ(抗VEGF)の併用療法をスニチニブと比較した無作為化臨床第2相試験IMmotion150の結果を報告する。コプライマリーエンドポイント(複数の主要評価項目)は、治療企図(ITT;intent-to-treat)患者群とPD-L1+患者群における無増悪生存期間(PFS)とした。ITT患者群でのPFSのハザード比は、スニチニブとの比較で、アテゾリズマブとベバシズマブの併用療法では1.0[95%信頼区間(CI)、0.69~1.45]、アテゾリズマブ単剤療法では1.19(95%CI、0.82~1.71)であった。また、PD-L1+患者群でのPFSハザード比は、スニチニブとの比較で、アテゾリズマブとベバシズマブの併用療法では0.64(95%CI、0.38~1.08)、アテゾリズマブ単剤療法では1.03(95%CI、0.63~1.67)であった。探索的バイオマーカー解析から、腫瘍変異やネオアンチゲン量はPFSに関連しないことが示された。一方、血管新生、エフェクターT細胞/IFNγ応答、骨髄炎症性遺伝子発現のシグネチャーは、治療群内および治療群間でPFSと強く特異的な関連を示した。これらの分子プロファイルから、抗VEGF療法と免疫療法の併用の際の転帰の予測はおそらく可能であると考えられ、また、免疫チェックポイント阻害に対する抵抗性にVEGF阻害が打ち勝つと思われる仕組みについて機構的な手掛かりが得られる。