Letter

AI/心電図:人工知能によって可能になった心電図解析を用いる、心収縮機能障害のスクリーニング

Nature Medicine 25, 1 doi: 10.1038/s41591-018-0240-2

無症候性左室機能不全(ALVD)は一般集団の3~6%に存在し、生活の質の低下や寿命短縮と関係付けられているが、発見されれば治療は可能である。ALVDを病院で低価格かつ非侵襲的にスクリーニングする手段は、現在のところ存在しない。我々は、心臓の電気的活動を測定する日常的な方法である心電図(ECG)に人工知能(AI)を適用すればALVDを見つけ出せると考え、検証を行った。今回、メイヨークリニックの患者4万4959人から得た、誘導心電図とそれと対となる左室駆出率(収縮機能の指標の1つ)を含む心エコー図のデータ12対を用いて、畳み込みニューラルネットワークがECGデータのみを使って心室機能不全患者(駆出率 ≤ 35%と定義される)を見つけ出せるようにトレーニングを行った。このセットとは無関係の患者5万2870人からなるデータセットで試験したところ、学習済みのネットワークモデルで曲線下面積が0.93、感度86.3%、特異度85.7%、精度85.7%という値が得られた。左室機能不全が見られていない患者のうち、AIスクリーニングで陽性だった患者は、心室不全を将来的に発症するリスクが、陰性だった患者と比べると4倍(ハザード比は4.1;95%信頼区間3.3~5.0)であった。広く使用される低コスト検査の1つであるECGにAIを適用すれば、無症候な患者の中からALVDを選び出す強力なスクリーニング手段となる。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度