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がん:ヒトがんの腫瘍内TCRレパートリーが持つ低くてばらつきのある腫瘍反応性

Nature Medicine 25, 1 doi: 10.1038/s41591-018-0266-5

ヒトがんへのT細胞の浸潤は、一般的に免疫認識の兆しと解釈されるため、機能不全となったT細胞をそのような腫瘍部位で再活性化させる試みが盛んになっている。しかし、このような取り組みが意味を持つのは、そのような細胞の腫瘍内T細胞受容体(TCR)のレパートリーが本来的に腫瘍反応性である場合のみであり、ほとんどのヒトがんでは、このことが先入観なしで確証されていなかった。この問題に取り組むために、我々はT細胞の浸潤がポジティブな予後マーカーとなる2つの腫瘍タイプである卵巣がんおよび大腸がんで、CD8+ T細胞の腫瘍内TCRレパートリーの内在的腫瘍反応性の解析を行った。得られたデータから、自家腫瘍を認識する能力は、腫瘍内CD8+ T細胞のおよそ10%に限られていることが明らかになった。さらに、解析した4つの患者サンプルのうち2つでは、T細胞による腫瘍の浸潤が起こっていたにもかかわらず、腫瘍反応性TCRは見つからなかった。これらのデータは、腫瘍内T細胞が近隣の腫瘍組織を認識する内因性能力はまれな上にばらついている可能性を示していて、腫瘍内T細胞を再活性化させる臨床的取り組みは、腫瘍内TCRレパートリーの質も同時に向上させる手法によって利益を被る可能性を示唆している。

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