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リスクを算出する
Nature Medicine 25, 1 doi: 10.1038/s41591-018-0278-1
10年前の米国で電子カルテを導入していたのは大規模な病院だけで、紙のカルテのデジタル版程度のものだった電子カルテを使っていた医師は、2007年の調査では約35%にすぎなかった。だが、オバマ政権下で200億ドル以上が健康情報技術の推進に投入されたことで電子カルテは急速に普及し、2015年には医師の87%ほどが電子カルテシステムのある施設に勤務していることが明らかになった。DNA検査が受けやすくなったこともあって、患者の遺伝学的情報と電子カルテの記録が、広く関連付けられるようになっている。こうした情報と遺伝学の成果をフルに使うことで、診療で見つかった医学的問題が遺伝的なものかどうかを調べる大規模な研究を、患者の家族史を聞き取るという厄介な過程を省いてコンピューター上で行えるようになった。薬剤の副作用が遺伝的なものかどうか、どの薬剤を選べばそれが避けられるかなどの、個別化医療につながる研究が急速に進みつつある。