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深層学習/がん診断:深層学習を用いる中皮腫分類法は患者転帰の予測を改善する
Nature Medicine 25, 10 doi: 10.1038/s41591-019-0583-3
悪性中皮腫(MM)は侵襲性の高いがんで、主に組織学的基準に基づいて診断される。2015年版のWHO(世界保健機関)分類では、中皮腫腫瘍は3つの組織学的タイプ(上皮型、二相型、肉腫型)に分けられている。しかし、MMは非常に複雑で不均一な腫瘍であるため、診断や組織学的分類が難しく、それが最善とはいえない患者ケアや治療法決定につながる。今回我々は、畳み込みディープニューラルネットワークを用いる新たな手法(MesoNetと命名)を開発した。これは、デジタル化したホールスライド画像から、病理医が注釈付けした局所的な領域が全く無しで、中皮腫患者の全生存率を正確に予測する。我々は、フランスMESOBANKの内部検証コホートと、がんゲノムアトラス(TCGA)の独立したコホートの両方でMesoNetを検証した。このモデルは患者の生存予測に関して、現在行われている病理学的方法を使うよりも正確であることが実証された。さらに、MesoNetはブラックボックス的な古典的深層学習法と異なり、患者の転帰予測に関与する領域を明らかにした。このような領域は主に間質に位置することが分かり、炎症や細胞多様性、空胞化と関連する組織学的特性が見られた。これらの知見は、深層学習モデルは、患者の生存を予測する新たな特性を特定できることを示唆していて、これは新たなバイオマーカーの発見につながる可能性がある。