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耐性菌検出:遺伝子型と表現型の同時検出は抗生物質感受性の迅速かつ正確な決定を可能にする

Nature Medicine 25, 12 doi: 10.1038/s41591-019-0650-9

多剤耐性生物は、ヒトの健康に対する深刻な脅威である。多剤耐性生物の確認の遅れは、死亡や広域抗生物質の使用を増加させ、耐性生物の選択がさらに進むため、迅速かつ正確な抗生物質感受性テスト(AST)は増大する抗生物質耐性に対処する上で必要不可欠である。しかし、微量液体希釈法のような、増殖に基づいた現行のASTアッセイは、重要な臨床上の判定を知るのに数日間を要する。迅速ASTは、利用可能な抗生物質のできる限り効率の良い配備を確実にする一方で、感染患者のケアを一変させる可能性がある。増殖をベースとするアッセイは基本的に病原体の倍加時間によって速度が制限され、遺伝子型アッセイは細菌の抗生物質耐性機構の絶えず増大していく多様性や複雑性によって制限される。本論文では、RNA検出によって遺伝子型と表現型を組み合わせて調べる迅速なAST法「GoPhAST-R」について述べる。これは、早期に抗生物質によって起こる転写変化についての機械学習解析と、それと同時に行う重要な遺伝的耐性決定因子の検出を組み合わせることで、94〜99%の精度で種を分類する方法であり、耐性検出の精度を高め、分子疫学的解析を促進させ、新たに出現する耐性機構の早期検出を可能にする。2方向から解析を行うこの手法は、陽性血液の培養から直接実施するハイブリダイゼーション法を用いたマルチプレックスRNA検出をパイロット機器を使ってアッセイ時間4時間未満で行うもので、標準的なワークフローよりも24〜36時間速く表現型のAST結果が得られる。

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