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がん治療:転移性黒色腫患者におけるPD1阻害の臨床転帰の分子的・臨床的統合モデルを作る

Nature Medicine 25, 12 doi: 10.1038/s41591-019-0654-5

免疫チェックポイント阻害(ICB)は、多くのタイプの腫瘍で効果が実証されているが、抗PD1を用いるICBに対する応答性の予測因子の性質は十分に調べられていない。本研究では、抗PD1 ICB治療を受け、臨床的に注釈付けされた黒色腫患者のコホート(n = 144)の解析を、治療前腫瘍の全エキソームおよび全トランスクリプトーム塩基配列解読により行った。応答性の予測因子と想定された腫瘍変異負荷は、黒色腫のサブタイプにより混乱を来したが、ゲノムおよびトランスクリプトームの複数の新しい特徴が選択的応答性を予測することが分かった。この中にはMHC-IおよびMHC-II抗原提示と関連する特徴が含まれる。さらに、以前に行われた抗CTLA4 ICBへの曝露は、ICB治療を受けたことのない腫瘍の場合とは異なる応答予測因子と関連しており、このことは抗CTLA4 ICBへの以前の曝露が選択的な免疫的影響を及ぼしたことを示唆している。我々はさらに、個々の腫瘍での抗PD1 ICBに対する内因性の抵抗性を予測するために、臨床的特徴とゲノムおよびトランスクリプトームの特徴を統合した倹約モデルを開発した。このモデルは包括的データの利用可能性によって制限を受けるような、より小さい独立コホートでの検証を行える。まとめると、本論文は応答性を予測し得る特性を発見し、ICB治療に対する応答性のモデルを構築するための枠組みを提示するものである。

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