NAFLD：ヒト肝臓組織の三次元空間分解された幾何学的および機能的モデルはNAFLD進行の新たな特徴を明らかにする

疾患の早期診断は、効果的な治療の基本である。ヒト生検の組織病理学的解析は、組織の変化を診断するための判定基準である。しかし、この手法は分解能が低く、機能的変化に起因する3D（三次元的）構造変化を見落とす。今回我々は、多光子画像化、3Dデジタル再構築とコンピューターシミュレーションを用いて、非アルコール性脂肪性肝疾患（NAFLD）のさまざまな進行段階にあるヒト肝臓組織の空間分解された幾何学的および機能的モデルを作製した。我々は、疾患の進行と相関する細胞と組織の形態測定パラメーターセットを特定し、3D胆細管（BC）ネットワーク中に顕著なトポロジカル欠陥を見いだした。個人ごとの胆汁流体動態シミュレーションから、中心周辺の胆汁圧力の増加と微小な胆汁うっ滞が予測され、これは患者血清中の胆汁うっ滞バイオマーカーの上昇と一致していた。我々が作製したヒト肝臓組織の空間分解モデルは、疾患の進行を明らかにするために、定量的な多重パラメーターによる細胞および組織のシグネチャーを特定することで高精細医療の一助となると考えられ、NAFLDの病態生理学的特性に対する新たな知見を提供する。