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出生前診断:メンデル遺伝する多数の単一遺伝子疾患を検出するための循環血中無細胞胎児DNAを用いた非侵襲性の出生前塩基配列解読法

Nature Medicine 25, 3 doi: 10.1038/s41591-018-0334-x

現在行われている非侵襲性の出生前スクリーニングは、胎児の染色体異常の検出を目標としている。しかし、de novo変異に関連する多くの優性単一遺伝子疾患については、比較的発生率が高いにもかかわらず、利用可能なスクリーニング法がない。本研究では、頻度の高い優性単一遺伝子疾患について、それらの原因遺伝子群の非侵襲的な出生前塩基配列解読を行う新たな手法の開発と検証、およびこの方法を用いた初期臨床試験について報告する。母体血漿から抽出した無細胞DNA(cfDNA)のバーコード付けと濃縮を行ってから、次世代シークエンサー(NGS)により標的領域を解析した。NGSのリード数と胎児分画に対して補正した統計解析を行うことで、低レベルの胎児バリアントが見つかった。病因性あるいは病因性の可能性があるバリアントは、cfDNAの二次アンプリコンを使う分析により確認された。臨床試験は、超音波検査で異常知見もしくは家族歴のある被験者と、これらがない被験者からなる422人の妊婦集団で行われた。転帰が知られている症例についての追跡研究では、真陽性20例と真陰性127例が確認され、偽陽性と偽陰性は認められなかった。今回の初期臨床研究で、この非侵襲性の検査は、非常に多様な優性単一遺伝子疾患の検出に有用な分子情報をもたらすことが可能であり、現行の異数性スクリーニングや劣性疾患保因者のスクリーニングを補完することが実証された。

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