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免疫:高次元縦断的モニタリングから得られた免疫年齢の臨床的に意味のある測定基準
Nature Medicine 25, 3 doi: 10.1038/s41591-019-0381-y
免疫応答は、一般的に年齢とともに減弱する。しかし、この過程の個人レベルでの動態は詳しく調べられておらず、個人の免疫年齢の数値化への障害となっている。今回我々は、年齢が多様な135人の健常な成人から9年以上にわたって試料を採取し、ヒト免疫系での集団レベルおよび個人レベルでの変化を複数の「オミクス」技術を使って縦断的に調べた。細胞頻度の変化率はベースラインの値によって影響を受け、個人間で大きなばらつきがあることが分かり、1つの細胞サブセットが収束する定常状態レベルが突き止められ、また複数の細胞サブセットが老化が進んだ成人の定常状態に向かって秩序だった収束をすることが明らかになった。これらのデータは、個人の免疫状態を暦年齢よりもよく記述できる免疫年齢(IMM-AGE)の高次元軌跡を形成する。さらに、IMM-AGEスコアは、フラミンガム心疾患研究(Framingham Heart Study)で十分に確証されたリスク因子では及ばない全死因死亡率を予測することが示され、この方法がリスクの大きな患者を見つけ出すために臨床で使える可能性が明らかになった。