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がん/マイクロバイオーム:糞便メタゲノムのメタ解析から明らかになった大腸がんに特異的な包括的微生物マーカー
Nature Medicine 25, 4 doi: 10.1038/s41591-019-0406-6
関連解析は、マイクロバイオームの変化と多くのヒト疾患との関連を明らかにしてきた。しかし、報告された結果は必ずしも一貫するものではなく、そのため横断的な研究による比較が必要となっている。今回我々は、8つの地理的および技術的に異なる大腸がん(CRC)糞便ショットガンメタゲノム研究(n = 768)についてメタ解析を行った。この解析は複数の交絡因子を考慮して調整されており、CRCメタゲノム中に有意に増加した29種の細菌種によるコアセットが見つかった[偽陽性率(FDR)< 1 × 10−5]。個々の研究から得られたCRCマーカー(シグネチャー)は、他の研究においてもその正確度を維持していた。我々は、複数の研究のデータセットを用いた学習により、CRCに対する検出の正確度と疾患特異性を改良した。CRCメタゲノムの機能解析では、タンパク質とムチンの異化に関わる遺伝子群の増加と、炭水化物分解に関わる遺伝子群の減少が明らかになった。さらに、CRCメタゲノムからは二次胆汁酸の産生増加が推測され、がんに関連した腸内微生物群と、脂肪や肉を多く含む食餌との間の代謝的なつながりが示唆された。大規模な検証によって、このメタ解析は、マイクロバイオームの広く一般化可能で予測的な系統学的および機能的CRCマーカーが、将来的に診断基盤となることを確証している。