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がん治療:転移性トリプルネガティブ乳がんでのPD-1阻害に対する感受性増強を目的とする免疫誘導法:TONIC試験

Nature Medicine 25, 6 doi: 10.1038/s41591-019-0432-4

転移性トリプルネガティブ乳がん(TNBC)ではPD-1(programmed cell death protein 1)阻害の効力が低く、これは腫瘍微小環境のPD-1阻害に対する感受性をもっと高くする戦略の必要性をはっきりと示している。前臨床試験では、化学療法や放射線照射に免疫調節活性があることが示唆された。このアダプティブ非比較第2相試験の第1ステージでは、転移性TNBCの患者67人が、(1)誘導無しでのニボルマブ投与、もしくは2週間の低線量放射線照射による誘導後にニボルマブ投与、(2)放射線照射(8Gy/回を3回)後にニボルマブ投与、(3)シクロホスファミド投与後にニボルマブ投与、(4)シスプラチン投与後にニボルマブ投与、(5)ドキソルビシン投与後にニボルマブ投与というグループに無作為に割り当てられた。コホート全体での客観的奏効率(ORR;iRECIST)は20%であった。奏効例の大部分はシスプラチン(ORR 23%)とドキソルビシン(ORR 35%)を投与されたコホートで見られた。ドキソルビシンとシスプラチンによる誘導の後には、PD-1–PD-L1(programmed death ligand 1)およびT細胞の細胞傷害性経路に関与する免疫関連遺伝子の発現上昇が観察された。この結果は、ドキソルビシン投与後に発現上昇していた遺伝子の中には炎症やJAK–STAT、TNF-αシグナル伝達に関わる遺伝子が多かったことでさらに裏付けられた。まとめると、この研究の臨床およびトランスレーション関連データは、TNBCでは、ドキソルビシンもしくはシスプラチンの短期間投与によってより望ましい腫瘍微小環境が誘導され、PD-1阻害に対する応答が見られる可能性が高まることを示している。これらのデータは、TNBCでのさらなる確認や、他のタイプのがんでのPD-1阻害に先立つ誘導治療についての研究を行う価値があることを示している。

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