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がん診断:低線量胸部コンピューター断層撮影像の三次元深層学習による肺がんのエンドツーエンドスクリーニング
Nature Medicine 25, 6 doi: 10.1038/s41591-019-0447-x
米国では、がんによる死亡の原因として最も多いのは肺がんで、2018年の肺がんによる死亡者数は16万人と推定されている。低線量のコンピューター断層撮影法による肺がんスクリーニングは死亡率を20~43%まで引き下げることが示されており、現在では米国のスクリーニングガイドラインに含まれている。このスクリーニングについての現在の難問は、判定者間での結果のばらつきと、偽陽性率、偽陰性率が共に高いことである。今回我々は、患者の現在および過去のコンピューター断層撮影像での容積を用いて肺がんリスクを予測する深層学習アルゴリズムについて報告する。我々のモデルは、National Lung Cancer Screening Trialに参加した6716症例に対して最高水準の実績(曲線下面積94.4%)を上げ、これらとは無関係の1139症例の臨床検証セットに対しても同等の成績を得た。さらに、2つの読み取り研究を実施したところ、過去のコンピューター断層撮影画像が利用できない場合、我々のモデルは6人の放射線科医のいずれよりも優れた成績を示し、偽陽性率は11%、偽陰性率は5%までの絶対的減少が見られた。過去のコンピューター断層撮影画像が利用できる場合は、モデルの成績は前述の放射線科医と同程度だった。この結果は、コンピューターによる支援と自動化によってスクリーニング過程を最適化する機会につながる。現在、大多数の患者はスクリーニングを受けていないが、肺がんスクリーニングの正確性、整合性を高め、その現場での採用を世界に促すという、深層学習モデルが持つ可能性が今回明らかになった。