がん治療:BRAF変異型黒色腫患者でのアテゾリズマブ+コビメチニブおよびベムラフェニブの併用投与
Nature Medicine 25, 6 doi: 10.1038/s41591-019-0474-7
黒色腫の治療は、PD-1(programmed death 1)もしくはそのリガンドであるPD-L1(programmed death ligand 1)やCTLA4(cytotoxic T lymphocyte-associated antigen 4)を標的とする免疫チェックポイント阻害剤、さらにBRAFV600変異を有する患者からなるサブグループを対象とするBRAFやMEKの小分子阻害剤の開発や認可によって、この10年間で大きく進歩した。BRAFやMEKを標的とする治療は、腫瘍微小環境に影響を及ぼし、PD-1/PD-L1阻害剤との併用の効果を高める。今回の第1b相研究(ClinicalTrials.gov, number NCT01656642)では、BRAFV600変異のある転移性黒色腫患者で、アテゾリズマブ(抗PD-L1抗体)とベムラフェニブ(BRAF阻害剤)の併用、あるいはアテゾリズマブとコビメチニブ(MEK阻害剤)とベムラフェニブを併用した場合の安全性と抗腫瘍活性を評価した。コビメチニブ+ベムラフェニブを28日間投与した導入期間後のアテゾリズマブ+コビメチニブ+ベムラフェニブの3剤併用療法では、かなり高いが対処可能な毒性が見られた。探索的バイオマーカーを使ったデータでは、コビメチニブ+ベムラフェニブの導入は、増殖性のCD4+ヘルパーT細胞の増加と関連していたが、ベムラフェニブ単独の導入期間に観察されたような制御性T細胞の増加とは関連していなかった。確定された客観的奏効率は71.8%(95%信頼区間 55.1~85.0)であった。予想された奏功持続期間中央値は17.4か月(95%信頼区間 10.6~25.3)となり、29.9か月の経過観察後には39.3%の患者で効果が継続していた。第3相試験ではさらなる検討が進行中である。