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喘息/微生物相:非農家で見られる農家類似の屋内微生物相は小児の喘息発症を防御する
Nature Medicine 25, 7 doi: 10.1038/s41591-019-0469-4
喘息の有病率は都市化に伴って上昇し流行病の域に達しているが、従来のような農家で成長した場合は、現在でも喘息の発症が少なくなる。農家のこのような喘息発症抑止効果は、ハウスダストに豊富に含まれる微生物相に関係しているように見え、こうした微生物相は健康を促進する屋内マイクロバイオームのモデル作製に使える可能性がある。我々は、フィンランド生まれの小児からなるコホートで、農家と非農家の住居のハウスダスト微生物相の構成の違いをモデリングすることにより、非農家で成長した小児では、住居の微生物相構成が農家のそれに近いほど小児喘息の発症リスクが低下することを明らかにした。喘息発症に防御的に働く微生物相では、連鎖球菌(Streptococcaceae)の存在量が屋外の細菌分類群に比べて低いことが分かった。発症防御効果は、細菌の種類の多さや全存在量とは無関係であり、ex vivoでの細菌細胞壁構成成分に対する炎症性サイトカイン応答の低下と関連している。さらに、これらの知見は、ドイツ農村部の小児を対象にした研究で再現することができ、ドイツの非農家で屋内細菌相がフィンランドの農家とよく似ている住居に住んでいる小児では喘息リスクが低下していることが明らかになった。屋内ダストの細菌相構成は、喘息リスクの明確で再現性のある予測因子であり、喘息防止のための修飾可能な標的候補である。