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抗生物質耐性:個人の病歴は尿路感染の抗生物質耐性を予測する

Nature Medicine 25, 7 doi: 10.1038/s41591-019-0503-6

尿路感染を引き起こす病原微生物には、抗生物質耐性が広く認められる。しかし、抗生物質の投与は、抗生物質感受性試験無しに「経験的に」処方されることが多く、適合しない恐れがあり、結果として投与が無効となることがある。本論文では、70万件以上の市中感染型尿路感染についての10年間にわたる縦断的データセットと、抗生物質購入記録を個別に解析した500万件を超えるデータとを関連づけることで、抗生物質耐性と患者の人口統計学的データ、過去の尿培養記録および薬物購入履歴との間に強い関連があることを突き止めた。このような関連を総合することによって、個人ごとの抗生物質耐性を機械学習に基づいて薬剤特異的に予測することが可能になり、それによって各サンプルで予測される耐性にマッチする抗生物質投与方法を、推奨薬剤処方アルゴリズムが作製できるようになった。このようなアルゴリズムを1年間のテスト期間にわたって遡及的に適用したところ、ミスマッチ投与のリスクが現行の治療基準に比べて大きく低下することが明らかになった。このようなアルゴリズムの臨床適用は抗微生物治療の有効性改善に役立つと考えられる。

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