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マイクロバイオーム:縦断的マルチオミクスデータと対になったヒト腸内細菌単離株ライブラリーは機構的マイクロバイオーム研究を可能にする
Nature Medicine 25, 9 doi: 10.1038/s41591-019-0559-3
腸マイクロバイオームとその宿主であるヒトとの相互作用についての我々の理解は、安定性と動態を調べるための縦断的データセットへのアクセスが限られていることや、機構的仮説を検証するための単離株がごくわずかしかないことで制限されてきた。今回我々は、ブロード研究所のOpenBiomeマイクロバイオームライブラリー(BIO-ML)を公開する。BIO-MLは、7758の腸内細菌単離株の包括的コレクションであり、対となる3632のゲノム塩基配列データおよび縦断的マルチオミクスデータが含まれる。微生物種は個人内および個人間で安定な集団サイズを維持しており、一般的に用いられる「オミクス」研究方法は、複数日にわたるサンプリングの平均を用いることで信頼性が高まることが分かった。また、個人の腸内代謝物の経時的な変化はアミノ酸レベルと関連していて、個人間の差異は胆汁酸に関する差異と関連していた。また、個人内では菌株の生態・進化動態やin vivoの選択圧を推測するのにゲノム多様性が使えることが分かった。BIO-MLは、仮説駆動型のマイクロバイオーム研究を可能にするように設計された独特な研究リソースである。