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深層学習:誘導ラマン組織学とディープニューラルネットワークを用いた、ほぼリアルタイムでの術中脳腫瘍診断
Nature Medicine 26, 1 doi: 10.1038/s41591-019-0715-9
がんの外科手術中の安全で効果的なケアには、術中診断が不可欠である。しかし、術中診断に現在使われているワークフローは、処理した組織のヘマトキシリン・エオシン染色に基づいているため、時間とエネルギーと労力を消費する。さらに、術中に行う組織像解釈は、数が減りつつあり、どこにでもいるわけではない病理医に頼る作業である。本研究では、誘導ラマン組織学(SRH)と無標識光学的画像化法、ディープたたみ込みニューラルネットワーク(CNN)を組み合わせて、自動化された方式により、ほぼリアルタイムに現場で診断を予測する並行ワークフローについて報告する。具体的には、我々のCNNは250万枚以上のSRH画像で学習しており、手術室での脳腫瘍診断を150秒未満で予測し、これは従来の技術による予測(例えば20〜30分)よりも1桁速い。我々は、多施設での前向き臨床試験(n = 278)で、CNNに基づくSRH画像診断は、従来の組織像の病理医解釈に劣らないことを実証した(全体精度は94.6%対93.9%)。我々のCNNは、認識可能な組織学的特徴表現の階層を学習し、脳腫瘍の主要な組織病理クラスを分類する。我々はさらに、SRH画像内の腫瘍浸潤診断領域を特定するためにセマンティックセグメンテーション法を実装した。以上の結果は、がんの術中診断を合理化可能にし、従来の病理学的検査法に依存しない、補完的な組織診断の経路を創成する方法を明らかにしている。