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糖尿病:スマートフォンを用いて送られる血管シグナルから得られる糖尿病のデジタルバイオマーカー

Nature Medicine 26, 10 doi: 10.1038/s41591-020-1010-5

世界の糖尿病患者数は急増しつつあり、2019年の4億5100万人から2045年には6億9300万人に達すると言われている。2型糖尿病は発症が潜行性であるため、診断が遅れ、罹患率が高まる。糖尿病には多因子性の血管作用があることから、我々は、スマートフォンを使う光電容積脈波測定法(photoplethysmography)によって、広くアクセス可能な糖尿病のデジタルバイオマーカーが得られるのではないかと考えた。今回、スマートフォンを使った光電容積脈波測定法を用いて、5万3870人からなる最初のコホート(「第1次コホート」)から糖尿病有病者を検出するディープニューラルネットワーク(DNN)を開発し、続いて、7806人からなる別のコホート(「同時期コホート」)および3つのクリニックから前向き登録された181人のコホート(「クリニックコホート」)で検証を行った。このDNNは、糖尿病有病者に対して、第1次コホートでは0.766の曲線下面積(95%信頼区間:0.750~0.782、感度75%、特異度65%)、同時期コホートでは0.740(95%信頼区間:0.723~0.758、感度81%、特異度54%)を達成した。DNNスコアと呼ばれるDNNの出力を、年齢、性別、人種/民族、ボディーマス指数と共に回帰分析に組み込んだ場合、曲線下面積は0.830となり、DNNスコアはこれらとは無関係に、従来通り糖尿病を予測した。クリニックコホートでのDNNの成績は、他の検証データセットでの成績と同様だった。ヘモグロビンA1cデータのある糖尿病患者の中では、継続的なDNNスコアとヘモグロビンA1cの間に、有意で正の関連が見られた(P ≤ 0.001)。これらの知見は、スマートフォンを用いる光電容積脈波測定法は、糖尿病有病者の取得しやすく非侵襲性のデジタルバイオマーカーを提供することを実証している。

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