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がん治療:進行消化器がんでの循環血中腫瘍DNA塩基配列解読の臨床的有用性:SCRUM-Japan GI-SCREEN研究およびGOZILA研究
Nature Medicine 26, 12 doi: 10.1038/s41591-020-1063-5
包括的なゲノムプロファイリングにより、進行固形悪性腫瘍でのゲノムバイオマーカーの検出が可能になっている。今回我々は、循環血中腫瘍DNA(ctDNA)の遺伝子型解析の有用性を評価するために、ctDNAを用いるスクリーニング研究であるSCRUM-Japan GOZILA(no. UMIN000016343)で進行消化器がん患者1687人を対象に行ったctDNA塩基配列解読を用いた治験への登録と、同一センターおよびネットワークで行った腫瘍組織塩基配列解読(GI-SCREEN、患者5621人)を用いた治験への登録を比較した。ctDNA遺伝子型解析は、組織遺伝子型解析に比べて、治療の有効性を損なうことなく、スクリーニング期間を有意に短縮し(11日対33日、P < 0.0001)、試験登録率を改善した(9.5%対4.1%、P < 0.0001)。また我々は、進行消化器がんの約2000人の患者でのctDNAプロファイルのクローン構造についても解析し、それによって多くの標的化可能な発がんドライバーとの関連が示され、また臨床開発の候補として複数の新しいドライバーが明らかになった。ctDNA遺伝子型解析は、精密医療の革新や個々の患者への提供を加速する可能性がある。