急性骨髄性白血病:急性骨髄性白血病での前向きゲノムプロファイリングを用いた精密医療による治療:Beat AMLマスター試験の実現可能性と予備的有効性
Nature Medicine 26, 12 doi: 10.1038/s41591-020-1089-8
急性骨髄性白血病(AML)は最もよく見つかる白血病である。高齢者では、AMLは有害な転帰をもたらす。AMLは高頻度に見られる変異に起源があり、その後、協調的に形質転換を引き起こす変異が獲得されて、これらが骨髄性形質転換や臨床的/生物学的な不均一性につながる。現在、AMLの治療は迅速に開始され、治療法の決定に患者の白血病の変異プロファイルを考慮することは必要とされていない。現在進行中のBeat AML試験(ClinicalTrials.gov NCT03013998)では、60歳以上で治療を受けていないAML患者が前向きに登録された。この試験は、検体を受け取ってから7日以内に、治療選択に先立って細胞遺伝学的データと変異データを提供し、その後、優勢クローンに基づいて治療をサブスタディに割り付けることを目的としている。AMLが疑われる合計487人の患者が登録され、395人が適格で、年齢の中央値は72歳(範囲は60~92歳、75歳以上が38%)であった。374人の患者(94.7%)は、7日以内に遺伝学的解析および細胞遺伝学的解析を完了し、Beat AMLサブスタディーを中心に割り付けられた。224人の患者(56.7%)がBeat AMLサブスタディーに登録され、残りの171人の患者は、標準治療(SOC)(103人)、試験的治療(28人)、緩和ケア(40人)のどれかを選んだ。治療の割り付け前に9人が死亡した。Beat AMLサブスタディの患者と、SOC[シタラビン+ダウノルビシン(7+3あるいは同量)、またはメチル化阻害剤による導入化学療法]を受ける患者の間では、人口統計学的特徴、臨床検査値および分子的特徴に有意な差はなかった。Beat AMLサブスタディの登録患者は、SOCを選択した患者と比べると、30日間の死亡率は低く、全生存期間は有意に長かった。AMLの精密医療による治療戦略は7日以内に実現可能であり、これによって患者と医師は、早期死亡の増加や全生存期間への悪影響なしに、ゲノムデータを治療決定に迅速に組み込むことができる。