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AMPA受容体/PET画像可視化:ヒト生体脳中のAMPA受容体の陽電子放出断層撮影による可視化

Nature Medicine 26, 2 doi: 10.1038/s41591-019-0723-9

AMPA(α-アミノ-3-ヒドロキシ-5-メチル-4-イソオキサゾールプロピオン酸)型グルタミン酸受容体の数や機能の異常は神経精神疾患の基盤だと考えられているが、ヒト生体脳でAMPA受容体を可視化する方法は現時点で存在しない。我々は、AMPA受容体のための陽電子放出断層撮影(PET)トレーサーを開発した。11Cで放射性標識した4-[2-(フェニルスルホニルアミノ)エチルチオ]-2,6-ジフルオロ-フェノキシアセトアミド誘導体([11C]K-2)は、AMPA受容体に特異的に結合した。我々が行った健常者での臨床試験では、Loganグラフィカル法により[11C]K-2が脳で可逆的な結合性を示すことが確かめられた(UMIN000020975;研究デザイン:非ランダムで単一群;主要評価項目:脳における[11C]K-2の動態や分布容積;副次評価項目:投与後4–10日における[11C]K-2の有害事象;本試験は事前に設定された評価項目を満たした)。てんかん患者を対象とした探索的臨床試験では、内側側頭葉てんかん患者のてんかん焦点への[11C]K-2の取り込み増加が検出された。[11C]K-2の取り込みは同一患者由来の手術サンプルでの局所のAMPA受容体タンパク質の分布と密接に相関していた(UMIN000025090;研究デザイン:非ランダムで単一群;主要評価項目:術前のPETによって測定した[11C]K-2の取り込みと術後の生化学的研究によって調べたAMPA受容体タンパク質密度との相関;副次評価項目:PETスキャン後7日間における有害事象;本試験は事前に設定された評価項目を満たした)。従って、[11C]K-2はAMPA受容体のPETトレーサーとして有用であり、神経精神疾患におけるAMPA受容体の関与を調べる手段となり得る。

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