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ジカウイルスワクチン:デング熱既感染者であるドナーでのジカワクチン接種によって誘導されたジカウイルスとデングウイルスの両方に反応する強力な交差中和抗体
Nature Medicine 26, 2 doi: 10.1038/s41591-019-0746-2
ジカウイルス(ZIKV)は重篤な疾患を引き起こし、神経学的病変や先天的な神経障害の症例が広範囲にわたって見られた。ワクチン開発は迅速に進められ、強力なZIKV中和抗体を誘導できる複数のワクチン候補が見つかっている。ワクチン開発の進展にもかかわらず、ZIKVワクチン接種が、既にフラビウイルスに対する免疫を持っているヒトでの免疫応答にどのような影響を与えるかはまだ明らかになっていない。本論文では、デングウイルス(DENV)既感染者でのZIKV精製不活化ワクチン(ZPIV)の単回免疫処置が、ZIKVとDENVの両方に強力に反応する交差中和抗体を誘導したことを示す。我々はZIKVウイルス粒子を用いる独自のソーティング戦略を用いて、多数の抗体を単離して特徴を詳細に調べた。その1つのMZ4と命名された抗体は、エンベロープ(E)ドメインI/IIIリンカー領域の中央に位置を占める新たな脆弱部位を標的としていて、ZIKVあるいはDENV-2投与によるウイルス血症やウイルス播種からマウスを防御した。これらの結果は、DENV既感染者へのジカワクチン接種は、既存のフラビウイルスに対する免疫を増強し、ZIKVとDENVの両方に対する防御応答を誘導できることを示している。フラビウイルスにすでに感染したプエルトリコ人でのZPIVワクチン接種でも、単回の接種後に同じような交差中和力が誘導され、フラビウイルス流行地域におけるZIKVワクチン接種が有益である可能性がはっきり示された。