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敗血症:細菌性敗血症の免疫細胞シグネチャー
Nature Medicine 26, 3 doi: 10.1038/s41591-020-0752-4
細菌感染に対する免疫応答の調節異常は、死亡率の高い病態である敗血症につながることがある。多数の全血遺伝子発現研究によって、敗血症に関連する分子シグネチャーが明らかになっているが、特定の細胞種の転写状態の変化については解明されていない。我々は今回、単一細胞RNA塩基配列解読法を用いて、3つの臨床コホートにわたる敗血症患者(n = 29)とそれに対応する対照(n = 36)の血液のプロファイリングを行った。全ての被験者に対して全末梢血単核球(PBMC;10万6545個の細胞)および樹状細胞(1万9806個の細胞)のプロファイリングを行い、それぞれの遺伝子発現プロファイルのクラスタリングに基づいて、免疫細胞の16の状態を定義した。また、敗血症患者で増加しているCD14+単球の独特な状態を明らかにし、これらが患者と対照の区別に使えるかどうかを、病因が多様であり居住地域もさまざまな被検者からの公開されているトランスクリプトームデータ(18コホート、n = 1467人の被検者)を使って検証した。さらに、この単球状態の単離や定量のための一連の表面マーカー群を突き止め、そのエピゲノムや機能の表現型の特徴を明らかにし、ヒト骨髄からの誘導に関するモデルを考案した。本研究により、疾患に関連する細胞学的シグネチャーの発見に単一細胞ゲノミクスが有用であることが実証され、細菌性敗血症での免疫調節異常の細胞基盤が明らかにされた。