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アルツハイマー病:アルツハイマー病での血漿中P-tau181: 他のバイオマーカーや鑑別診断、神経病態およびアルツハイマー型認知症への経年的進行との関係
Nature Medicine 26, 3 doi: 10.1038/s41591-020-0755-1
血漿中のリン酸化tau181(P-tau181)は、アルツハイマー病(AD)では増加すると考えられているが、これが鑑別診断や予後予測に使えるかどうかは明らかになっていない。我々は、認知障害のない参加者、および軽度認知障害(MCI)のある患者、AD型認知症患者と非AD型神経変性疾患の患者を含む3つのコホートの合計589人で血漿中P-tau181を調べた。血漿中P-tau181は、前臨床段階のADで増加していて、MCIと認知症の段階でさらに増加した。血漿中P-tau181は脳脊髄液(CSF)のP-tau181と相関していて、タウ陽電子放出断層撮影(PET)スキャンが陽性であることを予測した〔脳のさまざまな領域に対して曲線下面積(AUC)= 0.87〜0.91〕。血漿中P-tau181は、AD型認知症をタウPETやCSF P-tau181の場合と同程度の正確さで非AD型神経変性疾患と区別し(AUC = 0.94-0.98)、剖検で確認されたコホートでAD型神経病態を検出した。高い血漿中P-tau181値は、認知障害のない被検者とMCI被検者でのその後のAD発症と関連づけられた。まとめると、血漿中P-tau181はADの非侵襲的診断および予後のバイオマーカーであり、臨床業務や治験で役に立つ可能性がある。