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アルツハイマー病:アルツハイマー病と前頭側頭葉変性症での血漿中リン酸化tau181の診断的価値

Nature Medicine 26, 3 doi: 10.1038/s41591-020-0762-2

アルツハイマー病(AD)に対する新たな疾患修飾療法が開発されれば、認知機能や行動機能の低下を示す症状がある人々を調べて、AD治療開始のためにさらなる評価を行うべき患者を特定するための簡単で広く利用可能なスクリーニング試験が必要になる。血液を用いるAD検査は、現在認可されている脳脊髄液を用いる方法やアミロイドβの陽電子放射断層撮影法(PET)による診断検査よりも侵襲性が低く、より安価なスクリーニング手段となるだろう。今回我々は、臨床診断されたADや剖検により確定されたADと前頭側頭葉変性症の間で、181番目の残基がリン酸化された血漿中タウ(pTau181)に違いがあるかどうかを調べた。血漿中pTau181濃度は、ADでは対照群との3.5倍に上昇しており、臨床診断された前頭側頭葉変性症〔ROC曲線下面積(AUC)= 0.894〕と剖検確定した前頭側頭葉変性症(AUC = 0.878)の両方からADを区別できた。血漿中pTau181は、臨床診断結果とは関係なくアミロイドβ-PET陽性の患者を見つけ出し、18F-フロルタウシピルPETにより測定されたタウタンパク質の皮質での沈着と相関していた。血漿中pTau181は、ADと関連した病理的タウのスクリーニングに役立つと考えられる。

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