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がん治療:非定型奇形腫様/ラブドイド腫瘍の治療のためのB7-H3標的化CAR T細胞の局所領域投与

Nature Medicine 26, 5 doi: 10.1038/s41591-020-0821-8

非定型奇形腫様/ラブドイド腫瘍(ATRT)は通常、3歳未満の小児の中枢神経系(CNS)に発生する。集中的な集学的治療(手術、化学療法、年齢が許せば放射線療法)が行われるにもかかわらず、生存期間中央値は17か月である。我々は、ATRTはB7-H3/CD276をロバストに発現するが、これはATRTの腫瘍形成を引き起こすSMARCB1不活化変異に起因するものではなく、BRG1/SMARCA4によって仲介されるSWI/SNF(SWItch/Sucrose Non-Fermentable)活性の残存を必要とすることを示す。ATRTが胚起源であることと一致して、B7-H3は出生前の脳で高発現しているが、出生後の脳では高発現していない。脳室内あるいは腫瘍内に投与されたB7-H3.BB.z-キメラ抗原受容体(CAR) T細胞は、マウスの脳ATRT異種移植片に対して強力な抗腫瘍効果を及ぼし、静脈内に投与されたCAR T細胞と比べると、より速い動態、より大きな効果、および炎症性サイトカインの全身レベルの低下が見られた。脳室内に投与されたCAR T細胞も、CNSから末梢へ移動し、脳室内あるいは静脈内に投与されたB7-H3.BB.z-CAR T細胞は、ATRT異種移植片の除去後、脳と末梢の両方で、腫瘍の再移植に対して抗原特異的保護を仲介した。これらの結果から、B7-H3はこのほとんど治療不能の小児腫瘍の説得力のある治療標的であることが明らかになり、CNS悪性腫瘍の治療の際にはCAR T細胞を全身送達するのではなく局所送達することに重要な利点があることが実証された。

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