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薬剤耐性菌:カルバペネム耐性肺炎桿菌での毒性と持続性の適応進化

Nature Medicine 26, 5 doi: 10.1038/s41591-020-0825-4

カルバペネム耐性の腸内細菌科(Enterobacteriaceae)細菌の世界全域での出現は、公衆衛生上の最も差し迫った脅威の1つである。こうした細菌は、「最後の手段」である抗生物質クラスに耐性を示す。米国とヨーロッパでは、肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)のST258塩基配列タイプのカルバペネム耐性株が優勢であり、特定の地域に蔓延して高い死亡率と関連している。今回我々は、カルバペネム耐性肺炎桿菌での病原性の広域での進化は2009年にまでさかのぼり、米国とヨーロッパで毒性とカルバペネム耐性の収斂が繰り返し起こったことを報告する。肺炎桿菌は、容易に獲得できる機能獲得変異と機能喪失変異を介して2つの対立的な感染プログラムを採用することにより、その病原性を増強できることが明らかになった。莢膜生合成遺伝子wzcの一塩基多型は過剰な莢膜産生につながり、これが動物モデルで見られるファゴサイトーシス抵抗性や播種性増強、死亡率上昇をもたらす。対照的に、莢膜生合成遺伝子を破壊する変異は、莢膜産生を障害して上皮細胞への侵入やin vitroでのバイオフィルム形成、尿路感染の持続性を増強する。これら2つのタイプの莢膜変異体は、ヨーロッパとや米国で繰り返し、互いに無関係に出現しており、過剰莢膜型変異株は血流感染と関連し、莢膜欠損型変異株は尿路感染と関連が見られる。後者の場合は、薬剤耐性の肺炎桿菌が生存し続け、治療不能となりかねない持続性感染が起こることがある。

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