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がん:ヒト新鮮腫瘍と凍結腫瘍を扱う単一細胞RNA-Seqおよび単一核RNA-Seqのツールボックス
Nature Medicine 26, 5 doi: 10.1038/s41591-020-0844-1
単一細胞ゲノミクスは、腫瘍の生態系を描き出すのに不可欠である。単一細胞RNA-Seq(scRNA-Seq)は、新鮮な腫瘍から単離した細胞中のRNAのプロファイリングを行えるが、単一核RNA-Seq(snRNA-Seq)は凍結腫瘍や分離の難しい腫瘍のプロファイリングに必要である。どちらの方法も、多様な組織や腫瘍のタイプに合わせてカスタマイズする必要があり、それが試料に適用する際の障壁となっている。今回我々は、新鮮な、あるいは凍結後の腫瘍臨床試料を、それぞれscRNA-SeqとsnRNA-Seqを用いてプロファイリングするための体系的なツールボックスを開発し、さまざまな組織に由来し、試料特性が多様な8つの腫瘍タイプにわたる23症例からの40の標本から得た21万6490個の細胞と核を解析した。さらに、細胞と核の品質、回収率および細胞組成によって、プロトコルを評価した。マッチする試料からのscRNA-SeqとsnRNA-Seqでは同じ細胞タイプが回収されたが、割合は異なっていた。我々の研究は、他の腫瘍のためのツールボックスから引き出した手法を試験し、選択するための基準など、広範囲にわたる腫瘍の研究のための手引きとなるもので、腫瘍アトラスを描き出すための道を開くだろう。