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がん治療:腫瘍と関連する全身的に高いIL-8値は、PD-L1阻害の臨床的有用性の低下と相関する

Nature Medicine 26, 5 doi: 10.1038/s41591-020-0860-1

血漿インターロイキン8(pIL-8)値の上昇は、免疫チェックポイント阻害療法に対する転帰不良と関連付けられてきた。だが、このことは大規模な無作為化研究で包括的に評価されたことがない。本論文では、転移性尿路上皮がん(mUC)と転移性腎細胞がんの患者1445人が関わった多施設無作為化試験でアテゾリズマブ(抗PD-L1モノクローナル抗体)投与を受けた患者における末梢血単核球と腫瘍での循環pIL-8とIL8遺伝子発現の解析を行った。血漿、末梢血単核球および腫瘍で見られた高いIL-8レベルは、mUCおよび転移性腎細胞がんの患者でアテゾリズマブの有効性低下と関連しており、古典的なCD8+ T細胞の腫瘍浸潤性が見られる腫瘍でも同様だった。mUC患者では、pIL-8のベースラインが低いことが、アテゾリズマブおよび化学療法に対する応答の増加と関連していた。治療中にpIL-8が減少したmUC患者は、アテゾリズマブの投与によって全生存期間が改善されたが、化学療法では改善が見られなかった。免疫区画の細胞の単一細胞RNA塩基配列解読によって、IL8は循環中と腫瘍内の骨髄系細胞で主に発現しており、またIL8の高発現は抗原提示装置の発現低下と関連していた。IL-8が仲介する骨髄炎症の影響を抑えることのできる治療法は、免疫チェックポイント阻害剤を投与された患者の転帰改善に必須となるだろう。

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