Perspective
HIV:アフリカでの曝露前予防内服の展開:現在の状況とこれからの機会
Nature Medicine 26, 5 doi: 10.1038/s41591-020-0872-x
ヒト免疫不全ウイルス(HIV)の負荷が最も高い地域であるサハラ以南のアフリカの国々は、世界保健機関(World Health Organization;WHO)が2015年に行った勧告と重要な臨床試験の結果を受けて、国のHIV予防戦略に曝露前予防内服(pre-exposure prophylaxis;PrEP)を組み込む政策を展開した。そして、2019年末までに、世界でPrEPを受けた人々の3分の1以上はアフリカ人となった。パートナーの一方がHIVに感染し他方が感染していないカップル、思春期の少女や若い女性、女性のセックスワーカー、男性と性行為を持つ男性などの感染リスクの高い集団でのこの予防法の初期の展開からは、非常に重要な情報が得られた。それらには、PrEPの遵守を継続させるための戦略の重要性や、PrEPサービスを利用しやすくし、簡単で効率の良いものにするための新しい方法などが含まれる。本稿では、このようなプログラムの現在の状況や、この予防法をさらに広く実施できるようになる方策について論じる。