がん治療:膵がん治療でのCXCR4アンタゴニストBL-8040とペンブロリズマブおよび化学療法との併用:COMBAT臨床試験
Nature Medicine 26, 6 doi: 10.1038/s41591-020-0880-x
膵管腺がん(PDAC)では、PD-1(programmed cell death 1)阻害剤の効果は限定的であり、別の経路を同時に標的としなければならないことは明白である。CXCケモカイン受容体4(CXCR4)の阻害は、T細胞の腫瘍浸潤を促進し、PDACマウスモデルでは抗PD-1療法と相乗的に働く。我々は、転移性PDACでのCXCR4アンタゴニストBL-8040(motixafortide)をペンブロリズマブおよび化学療法と併用した場合の安全性、有効性、および免疫生物学的効果を評価するために、オープンラベル、2コホートによる第2a相臨床研究を行った(NCT02826486)。主要評価項目は、客観的奏効率(ORR)とした。副次的評価項目は、全生存率(OS)、疾患制御率(DCR)および安全性とした。コホート1では、化学療法抵抗性のPDAC患者37人がBL-8040とペンブロリズマブを投与された。そのDCRは、評価可能な集団(modified intention to treat; mITT、N = 29)で34.5%で、安定な患者9人(31%)、部分奏効(partial response)の患者1人(3.4%)が含まれている。全生存期間の中央値(mOS)は、ITT集団で3.3か月だった。治験薬をセカンドライン治療として投与されていた患者では、mOSは7.5か月だった。BL-8040は、CD8+エフェクターT細胞の腫瘍浸潤を増加させ、骨髄由来免疫抑制細胞(MDSC)を減少させ、循環中の制御性T細胞をさらに減少させた。コホート2では、患者22人が化学療法と組み合わせてBL-8040とペンブロリズマブの投与を受けた。ORR、DCR、奏功期間中央値は、それぞれ32%、77%、7.8か月であった。これらのデータは、CXCR4とPD-1阻害の併用はPDACでの化学療法の有益性を拡大する可能性があり、引き続き無作為化試験で確認を行うのに値することを示唆している。