COVID-19:COVID-19エピデミックの伝播と制御における年齢依存性の影響
Nature Medicine 26, 8 doi: 10.1038/s41591-020-0962-9
COVID-19のパンデミック(世界的大流行)では、小児の症例の割合が著しく低いことが明らかになっている。観察された症例における年齢的不均衡は、小児の感染に対する感受性が低いこと、臨床症状を示す傾向が低いこと、あるいはこの両方によって説明できる可能性がある。我々は、年齢構造化数理モデルを中国、イタリア、日本、シンガポール、カナダ、韓国のエピデミックのデータに対して適合させることによって、これらの可能性を検討した。20歳以下の人々の感染感受性は、20歳以上の年齢の成人の感受性のおよそ半分であること、また臨床症状は、10〜19歳の年齢層での感染の21%(95%信頼区間:12~31%)で見られるが、70歳以上の年齢層では、これが69%(57~82%)に上昇すると推定された。従って、小児を対象にした介入の影響は、SARS-CoV-2の伝播抑制に対する影響が比較的小さく、不顕性感染の伝播性が低いとすれば、さらに小さくなると推定される。臨床患者および感染感受性の年齢特異的グループ化についての我々の推定は、多様な設定条件にわたる人口統計学的差異を考慮した結果として、COVID-19について予想される世界的疾病負荷に関係すると考えられる。若年層が多い人口構造の国々(多くの低所得国など)では、臨床症例の一人当たりの予想発症率は、高齢層の多い国に比べて低くなると推定されるが、低所得国で見られる共存症も疾患の重症度に影響するだろう。高齢者人口の割合が比較的多い地域は、有効な制圧手段がなければ、COVID-19の症例が不釣り合いに多くなり、エピデミックの勢いが収束しない場合はその後期に特に多くなると予測される。