COVID-19/がん:がん患者でのCOVID-19の重症度の決定因子
Nature Medicine 26, 8 doi: 10.1038/s41591-020-0979-0
米国ニューヨーク州では、2020年4月10日の時点でSARS-CoV-2(severe acute respiratory syndrome coronavirus 2)感染は18万458例となり、報告された死者数は9385人となった。死者の8.4%は、がんに罹患していた。中国とイタリアで行われたコホート研究によって、がんに罹患しているとCOVID-19(coronavirus disease 2019)による死亡率が高くなることが示唆されたが、がんやその治療のどのような特性がCOVID-19重症化のリスクをもたらすのかはまだ明らかになっていない。このような情報は、SARS-CoV-2への曝露の低減とがん治療の継続という、互いに競合する安全性考察のバランスを取るために極めて重要である。スローン・ケタリング記念がんセンターでは、2020年3月10日から4月7日までの期間内に 検査対象となった総数2035人のがん患者のうち423人が症候性COVID-19と診断された。これらの患者の40%はCOVID-19によって入院となり、20%が重篤な呼吸器症状を発症し(機械換気が必要となった9%を含む)、12%が30日以内に死亡した。年齢が65歳以上であることと免疫チェックポイント阻害剤(ICI)療法を受けていることは入院や重篤化の予測因子だったが、化学療法や大手術は予測因子とはならなかった。まとめると、がん患者でのCOVID-19発症は、入院受療率と重症化率がかなり高いことが特徴であるといえる。我々の研究でICIとCOVID-19の転帰との間に観察された関連は、腫瘍特異的なコホートでのさらなる検証を必要とするだろう。