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病原体検査:感染者の体液中の病原体のメタゲノム次世代塩基配列解読による迅速な検出
Nature Medicine 27, 1 doi: 10.1038/s41591-020-1105-z
今回我々は、体液から得た無細胞DNAを用いて病原体を特定するためのメタゲノム次世代塩基配列解読(mNGS)検査を開発した。160人の急性疾患患者から採取した182の体液検体のmNGS検査結果を2種類の塩基配列解読プラットフォームを用いて評価し、培養による微生物学的検査、細菌16S PCRまたは菌類28S内部転写リボソーム遺伝子スペーサー(28S–ITS)PCR、あるいはこの両方と比較した。検査の検出感度と検出特異性は、イルミナ塩基配列解読では細菌に対してそれぞれ79%と91%、菌類に対しては91%と89%であり、ナノポア塩基配列解読では細菌に対しては75%と81%、菌類に対しては91%と100%だった。体液検体が培養/PCRで陰性だったが、最終的に感染診断が確定された12人の患者の症例では、7人(58%)がmNGS陽性だった。また、リアルタイム計算解析により、ナノポア塩基配列解読による病原体の特定を、塩基配列解読は中央値50分で、試料採取から回答までは6時間で行うことが可能になった。mNGSによる迅速な検査は、体液から未知の感染を診断するための有望な手段といえる。