COVID-19:米国のCOVID-19流行のシナリオをモデル化する
Nature Medicine 27, 1 doi: 10.1038/s41591-020-1132-9
我々は、2020年2月1日から同年9月21日までの新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の症例データと死亡データ、決定論的SEIR(susceptible, exposed, infectious and recovered)コンパートメンタルフレームワークを使って、2020年9月22日から2021年2月28日までの米国の重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)感染の予想される進行曲線とそれに対する非薬理学的介入の影響を州レベルでモデル化した。また、このSEIRモデルと重要な推進性の共変量(肺炎の季節性、移動性、検査率、一人当たりのマスク使用率)の予測を用いて、ソーシャルディスタンシングの義務付けとマスク使用の複数のレベルでのシナリオを評価した。州による現在の非薬理学的介入戦略[人口100万人当たり死亡者8人という閾値を超えた場合にソーシャルディスタンシングの義務付けを復活させる(参考シナリオ)]を使った予測では、漸増的に米国全体で51万1373(46万9578~57万8347)人が2021年2月28日までにCOVID-19により死亡する可能性が示唆された。また、ほぼ全員のマスク着用(公衆の面前では95%%マスクを着用)を達成することで、多くの州では流行復活による最悪の影響を十分に低減できることが分かった。全般的なマスク着用が達成されれば、2020年9月22日から2021年2月の終わりまでに、参考シナリオと比較した場合、さらに12万9574(8万5284~17万867)人の命が救われる可能性があり、マスク着用率がこれより低い85%と想定しても、さらに9万5814(6万731~13万3077)人の命が救われると予想される。