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遺伝子治療:ヒト組織でのオナセムノゲンアベパルボベクのDNA、mRNAおよびSMNタンパク質の体内分布
Nature Medicine 27, 10 doi: 10.1038/s41591-021-01483-7
脊髄性筋萎縮症1型(SMA1)は衰弱性神経変性疾患で、SMN1(survival motor neuron 1)遺伝子の欠失/変異が原因である。オナセムノゲンアベパルボベク(旧称AVXS-101)は、1回の全身投与によりSMN産生を回復させる遺伝子治療薬である。本研究では、AAV9を用いた遺伝子治療薬の静脈内投与後に、ベクターゲノムと導入遺伝子が中枢神経系(CNS)と末梢器官の全体にわたって広く生体内分布することを示す。SMA1の症候が見られる2人の乳児が第III相試験に登録され、オナセムノゲンアベパルボベクの投与を受けた。患者は2人共、オナセムノゲンアベパルボベクとは無関係の呼吸器合併症で死亡した。患者の1人は運動機能が改善し、もう1人は投与直後、認識可能な臨床的有用性が観察される前に死亡した。患者の両方で、オナセムノゲンアベパルボベクのDNAとメッセンジャーRNAが末梢器官とCNS中に広く分布していることが分かった。ベクターゲノム濃度が最も高かったのは肝臓で、CNS組織で検出された濃度の300~1000倍を超えていた。SMNタンパク質は、投与を受けていない対照のSMA1患者1人ではほとんど検出されなかったが、投与を受けた2人の患者では運動ニューロン、脳、骨格筋および複数の末梢器官で明確に検出された。これらのデータは、ヒトでは、オナセムノゲンアベパルボベクが静脈内投与後にCNS全体にわたって効果的に分布し、形質導入されて発現し、SMN発現を回復させるという事実を裏付けるものだ。