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がん治療:再発性または難治性のB細胞急性リンパ芽球性白血病の小児患者と若年成人患者でのCD19とCD22の2つを標的とするCAR T細胞:第1相試験

Nature Medicine 27, 10 doi: 10.1038/s41591-021-01497-1

CD19あるいはCD22を標的とするキメラ抗原受容体(CAR)T細胞は、B細胞急性リンパ芽球性白血病(B-ALL)で顕著な活性を示してきた。その治療が失敗する主な原因は、抗原の発現低下や喪失である。2つの抗原を標的とするとこうしたことを防げる可能性があるが、CD19とCD22の両方を標的とするCAR T細胞の臨床での安全性と有効性については、まだ不明である。我々は、再発性または難治性のB-ALLの小児患者と若年成人患者(n = 15)で第1相試験を行い、抗CD19 CARと抗CD22 CARの両方を発現する自己形質導入T細胞であるAUTO3について検討した(AMELIA試験、EUDRA CT 2016-004680-39)。主要評価項目は、用量制限毒性期間でのグレード3~5の毒性出現と、用量制限毒性の頻度とした。副次評価項目には、微小残存病変陰性奏効(完全奏効または骨髄回復が不完全な完全奏効)を伴う形態学的寛解率と、有害事象の頻度や重症度、AUTO3の増殖と持続性、B細胞形成不全の期間、全生存と無事象生存を含めた。本研究の評価項目は満たされた。AUTO3は良好な安全性プロファイルを示し、用量制限毒性はなく、AUTO3に関連した重篤なサイトカイン放出症候群や神経毒性も報告されなかった。治療後1か月の時点で、寛解率(つまり完全奏効または骨髄回復が不完全な完全奏効)は86%(15人の患者のうち13人)だった。1年間の全生存率と無事象生存率は、それぞれ60%と32%だった。再発の原因は、AUTO3の長期持続性が限られているためだと考えられる。B-ALLでの2つの抗原を標的とするCAR T細胞療法の完全な実現には、CAR T細胞の持続性を改善する戦略が必要となる。

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