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連合学習:COVID-19患者の臨床転帰を予測するための連合学習
Nature Medicine 27, 10 doi: 10.1038/s41591-021-01506-3
連合学習(FL)は、データの匿名性を維持しながら複数の情報源からのデータを用いて人工知能モデルを学習させるために使われる方法であり、これによりデータ共有に対する多くの障害が取り除かれる。我々は、世界中の20の研究機関から集めたデータを用いて、EXAM(電子医療記録と胸部X線画像に基づくAIモデル)と呼ばれるFLモデルを学習させた。これはバイタルサイン、検査データと胸部X線の所見から、症候性の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者にこれから酸素投与が必要になるかどうかを予測するものである。EXAMは、救急処置室へ最初に運ばれてから24時間後と72時間後の転帰を予測するための平均曲線下面積(AUC)> 0.92を達成した。また、全参加研究機関で測定された平均AUCに16%の改善をもたらし、一般化可能性を、単施設のデータを用いて学習させたモデルと比較した場合、平均38%増加させた。独立した最大の参加施設での24時間以内の人工呼吸器管理予測あるいは死亡予測では、EXAMは感度0.950および特異度0.882を達成した。本研究で、FLはデータ交換をせずに迅速にデータサイエンスの共同実験を行うことを容易にし、COVID-19患者の臨床転帰の予測のために、不均一な調和しないデータセットを汎用化させるモデルを生み出し、FLがヘルスケアで幅広く使用されるための基盤を作った。