がん治療:切除可能なステージIIIB–IVM1aの黒色腫でのタリモジンラヘルパレプベクによるネオアジュバント療法と外科手術の併用と外科手術単独の場合の比較:無作為化非盲検第2相試験
Nature Medicine 27, 10 doi: 10.1038/s41591-021-01510-7
タリモジンラヘルパレプベク(T-VEC)は、単純ヘルペスウイルス1型をベースとした病変内腫瘍溶解性免疫療法であり、切除不能な黒色腫の治療に承認されている。現在進行中のこの研究は、切除可能な進行性黒色腫の患者の無再発生存率(RFS)に対するネオアジュバントとしてのT-VECの治療効果の推定を目的とした。非盲検第2相試験(NCT02211131)は、切除可能なステージIIIB–IVM1aの黒色腫患者150人で行われ、患者はT-VEC投与後に手術を受けた群(1群、n = 76)と手術のみの群(2群、n = 74)に無作為に分けられた。主要評価項目は、治療企図集団での2年間のRFSだった。副次評価項目と探索的評価項目には、全生存期間(OS)、病理学的完全奏効(pCR)、安全性、バイオマーカー解析が含まれる。2年間のRFSは、1群では29.5%、2群では16.5%だった[全体のハザード比(HR)= 0.75、80%信頼区間(CI)= 0.58~0.96]。2年間のOSは、1群では88.9%、2群では77.4%だった(全体HR = 0.49、80%CI = 0.30~0.79)。1群と2群の間のRFSおよびOSの違いは、3年の時点でも持続していた。1群では、17.1%がpCRを達成した。CD8+濃度の上昇は、探索的解析の臨床転帰と相関していた。1群の有害事象は、T-VECに関する以前の報告と一致していた。本研究では主要評価項目が満たされ、切除可能なステージIIIB–IVM1aの黒色腫患者では、ネオアジュバントT-VEC療法と手術を組み合わせると、手術先行に比べて疾患再発リスクが25%低下すると推定された。