慢性B型肝炎:アンチセンスオリゴヌクレオチドであるbepirovirsenの慢性B型肝炎患者での安全性、耐容性、抗ウイルス活性:第2相無作為化対照試験
Nature Medicine 27, 10 doi: 10.1038/s41591-021-01513-4
B型肝炎ウイルス(HBV)の慢性的感染は、肝硬変や肝細胞がんによる死亡リスク増大につながる。現在の治療選択肢[ヌクレオシ(チ)ド類似体(NA)やペグ化インターフェロン]での機能的治癒率は低い。bepirovirsenは、全てのHBVメッセンジャーRNAを標的とするアンチセンスオリゴヌクレオチドで、培養細胞や動物モデルで、HBV由来RNA、HBV DNA、ウイルスタンパク質の減少を引き起こす。今回の第2相二重盲検無作為化プラセボ対照試験は、治療歴のない慢性HBV感染者とウイルス抑制された慢性HBV感染者の両方での、HBV RNAを標的としたアンチセンスオリゴヌクレオチドの安全性と活性についての最初の評価である。主要目的は、慢性B型肝炎(CHB)患者でのbepirovirsenの安全性と耐容性の評価であった(NCT02981602)。副次目的は、B型肝炎表面抗原(HBsAg)の血清濃度の基準値から29日目までの変化などの抗ウイルス活性の評価であった。CHB感染が6か月以上続き血清HBsAgが50 IU ml−1以上の参加者が、香港と韓国の7つの施設から登録され、各用量コホート内で3:1に無作為に分割され、1週目と2週目は週2回(1、4、8、11日目)、3週目と4週目は週1回(15日目と22日目)、bepirovirsenまたはプラセボの皮下注射を受けた。参加者は、その後26週間にわたり追跡された。24人の参加者は治療歴がなく、7人は従来と同じNA療法を受けていた。治療に起因する有害事象のほとんどは、軽度または中等度だった(最もよく見られたのは注射部位反応)。治療歴のない参加者のうち、bepirovirsen群の11人(61.1%)とプラセボ群の3人(50.0%)が、治療に起因する1つ以上の有害事象を経験した。NA療法を受けていた参加者の中では、同様な事象は、bepirovirsen群で3人(60.0%)とプラセボ群で1人(50.0%)だった。bepirovirsen投与群の治療歴のない8人の参加者と、従来通りのNAレジメンを受けていた3人の参加者で、一過的で自己解消されるアラニンアミノトランスフェラーゼの急増(正常上限の2倍以上)が観察された。bepirovirsen 300 mgを投与された治療歴のない参加者ではHBsAgの低下が観察され、プラセボ群と比較して有意な値だった(P = 0.001)が、bepirovirsen 150 mg投与群や従来通りのNA療法を受けた参加者では有意とならなかった(P = 0.245とP = 0.762)。それぞれの300 mg投与群の2人の参加者は、29日(n = 3)または36日(n = 1)までに定量下限値以下のHBsAgレベルを達成した。bepirovirsenは良好な安全性プロファイルを示した。これらの予備的観察は、より多数のCHB患者集団でのbepirovirsenの安全性と活性のさらなる研究の施行を支持するものだ。