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医用生体工学:股関節部を覆うパワードエクソスケルトンは大腿切断者の歩行の経済性を改善する
Nature Medicine 27, 10 doi: 10.1038/s41591-021-01515-2
大腿切断は、数百万に及ぶ人々の移動性や生活の質を著しく低下させている。現在手に入る義足を用いた歩行は非常に効率が悪く、歩行経済性の悪さは移動性を制約する大きな問題である。今回我々は、股関節部を覆い、残肢を補助する自律型のパワードエクソスケルトンが、6人の大腿切断者でトレッドミル歩行時の代謝的歩行経済性を15.6 ± 2.9%と大幅に改善することを示す(平均 ± 標準誤差、両側対応ありt検定、P = 0.002)。観察された代謝コスト改善は、大腿非切断者が12 kgのバックパックを下ろしたのに相当する。参加者は全員がこのエクソスケルトンを使って歩行開始と停止を含めた床上歩行を行うことができ、歩行のバランスや安定性にも目立った変化は見られなかった。本研究は、使用者の股関節部を覆うパワードエクソスケルトンによる残肢の補助が、大腿切断者の歩行経済性改善のために実行可能な解決策であることを示している。今回提案した股関節部を覆うエクソスケルトンは、歩行の代謝コストを大幅に削減することで、移動性に大きな正の影響を及ぼし、大腿切断者の生活の質を改善する可能性がある。