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COVID-19:固形腫瘍のある成人患者でのBNT162b2 mRNAワクチンの2回および3回接種に対する免疫応答
Nature Medicine 27, 11 doi: 10.1038/s41591-021-01542-z
重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)に対するワクチンは高い有効性を示してきたが、免疫が低下している参加者は比較臨床試験から除外されてきた。本研究では、BNT162b2 mRNA新型コロナウイルス感染症ワクチンに対する免疫応答を、細胞傷害性の抗がん剤治療中の固形がん患者(n = 53)とがんのない参加者の対照コホート(n = 50)とで比較した。中和抗体は、1回目免疫後のがん患者の67%で検出され、2回目接種後、抗体価中央値は3倍に増加した。同様のパターンが、スパイクタンパク質特異的血清抗体およびT細胞で観察されたが、これら3種類の応答それぞれの大きさは対照コホートと比較すると縮小していた。ほとんどのがん患者で、スパイク受容体結合ドメインなどのS1特異的記憶B細胞サブセットが追加の免疫に対する既往性応答の予測因子候補となることが観察された。そこで、我々は、BNT162b2の3回目のワクチン接種へのがんコホート参加者20人に対する第1相試験(NCT04936997)を開始した。主要評価項目は免疫応答で、副次評価項目は安全性であった。3回目免疫後の1週目に、16人の参加者で中和抗体応答の中央値が3倍に増加したが、T細胞応答には改善が見られなかった。有害事象は軽度であった。これらの結果は、BNT162b2の3回目の接種は安全であり、SARS-CoV-2に対する液性免疫を改善させ、化学療法中のがん患者に対して免疫学的に有益となり得ることを示唆している。