Editorial

多様性、公平性、インクルージョン:我々はこの問題に長い時間をかけて取り組んでいく

Nature Medicine 27, 11 doi: 10.1038/s41591-021-01582-5

Nature Medicine は、「医学研究における多様性、公平性、インクルージョン(DEI)」についての連載をこの号から開始する。そして、DEIの扱いについて、議論の行方に大きな関わりがある重要な利害関係者たちの多様な見方を、読者が毎号の誌面で知ることができるようにしたいと考えている。連載のスタートは、世界中の研究者に関わりがある問題、つまり研究費財源の問題からである。

今月号ではF T OdedinaとM C Sternが、米国を例に取って、過小評価グループに属する科学者が経験する難問、つまり研究員が黒人、ラテンアメリカ系や先住民族などである場合に研究費確保に当たって直面する問題について概観している。このような問題についての認識はこの2年間で大きく高まり、社会のあらゆる階層に構造的な人種差別が影響していることを知らせるきっかけとなった。

Nature Medicine もまた、誌面での多様性とインクルージョンの拡大に向けて努力を続けており、ピアレビュアーの多様性拡大に力を注いできた。この2年間、我々はピアレビュアーにレビューの最後に地理的所在、キャリア段階と自認している性別についての情報を提供してくれるように依頼してきた。集まったデータについては、2021年から年1回のペースで共有化しようと計画している。レビュアーはNature Medicine の出版物に関する重要なパートナーであり、本誌はこの他にもレフェリーの透明性を高める努力を続けている。

多様性、公平性とインクルージョンの確保に努めようとする際に最も難しいのはおそらく、この問題にはすぐさま使える解決法がないのを認めることである。解決に向かって進むには、忍耐、粘り強さ、継続的な関与、それに自己評価が必要だろう。我々はこの問題を長い目で見て、うまずたゆまず取り組んでいこうと考えている。

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