Brief Communication

がん治療:BCMAを標的とするCAR T細胞療法の後に見られた、パーキンソン症候群の特徴を伴う神経認知機能および運動機能の障害

Nature Medicine 27, 12 doi: 10.1038/s41591-021-01564-7

多発性骨髄腫(MM)では、B細胞成熟抗原(BCMA)はキメラ抗原受容体(CAR)T細胞療法の重要な腫瘍関連標的である。今回我々は、CARTITUDE-1試験(NCT03548207)に参加した1人のMM患者の症例を報告する。この患者は、BCMAを標的とするCAR T細胞であるciltacabtagene autoleucelを注入したほぼ3か月後に、パーキンソン症候群の特徴を伴う進行性の運動障害を発症し、これは血中と脳脊髄液中でのCAR T細胞の残存と大脳基底核へのリンパ球浸潤に関連していた。この患者の大脳基底核のニューロンとアストロサイトではBCMAが発現していることが分かった。さらに、公開されているトランスクリプトームのデータセットから、正常なヒト脳の尾状核でもBCMAのRNAの発現が確認され、この症状が抗BCMA療法のオンターゲット効果である可能性が示唆された。ciltacabtagene autoleucelの第2相試験でグレード3以上のパーキンソン症候群患者が3人、またidecabtagene vicleucelの添付文書でもグレード3のパーキンソン症候群が報告されていることを考えると、我々の知見はBCMAを標的とするT細胞療法を受ける患者での詳細な神経学的モニタリングの必要性を裏付けている。

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