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HIV:複数のクレードのenvgag VLP mRNAワクチンはマカクでtier-2 HIV-1中和抗体を誘導し、異種のSHIV感染のリスクを低下させる

Nature Medicine 27, 12 doi: 10.1038/s41591-021-01574-5

HIV/エイズのパンデミック(世界的大流行)を制御するために、予防ワクチンの開発は現在も最優先の課題となっている。我々は、膜に繋留されたHIV-1エンベロープ(Env)とサル免疫不全ウイルス(SIV)Gagタンパク質を共発現してウイルス様粒子(VLP)を生じさせるメッセンジャーRNA(mRNA)ワクチンが、広域にわたる中和能を持つ抗体を誘導し、アカゲザルで感染リスクを低下させることを示す。マウスでは、合剤にしたenv mRNAとgag mRNAを用いた免疫は、中和抗体の誘導に関してenv mRNAを単独で用いた場合よりも優れていた。N276グリカンを欠失したtransmitted-founderクレードBのenv mRNAでマカクをプライムし、次いでグリカンが修復された自家envで、さらに続けて2価の異種env(クレードAおよびC)で複数のブースター免疫を行った。この処方は、免疫原性が高く、最も流行している(tier-2)HIV-1株に対する中和抗体を誘導し、強力な抗Env CD4+ T細胞応答を伴った。ワクチンを接種したマカクでは、異種tier-2サル–ヒト免疫不全ウイルス(SHIV AD8)を低用量で繰り返し粘膜感染させると、リスクが曝露1回当たり79%低下した。従って、複数のクレードのenvgag VLP mRNAプラットフォームは、HIV-1ワクチン開発のための有望な方法といえる。

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