Brief Communication

COVID-19:BNT162b2ワクチンの接種およびブースター接種後のSARS-CoV-2デルタ変異株によるブレークスルー感染でのウイルス量

Nature Medicine 27, 12 doi: 10.1038/s41591-021-01575-4

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)用のBNT162b2ワクチンは、ブレークスルー感染(BTI)での疾患予防とウイルス量減少における有効性が低下してきており、それと同時に重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)のデルタ変異株が増加しつつある。しかし、ウイルス量の減少について、このワクチンで観察された有効性の低下が、デルタ変異株に本来備わっている性質によるのか、それとも免疫獲得からの時間に依存しているものなのかは明らかになっていない。我々は、イスラエルで現在起こっているデルタ変異株が優勢のパンデミック(世界的大流行)波の間に見られた1万6000件を超える感染のウイルス量の解析を行い、最近ワクチン接種を完了した既接種者のBTIでのウイルス量は、ワクチン未接種者の感染に比べると低いことを見いだした。しかし、この効果はワクチン接種後2か月で減衰し始め、ワクチン接種後6か月を過ぎると最終的に消失する。しかし、BTIでのウイルス量低下に対するBNT162b2の効果は、ブースター接種後に回復することが分かった。これらの結果は、BNT162b2はBTIの感染性を、デルタ変異株であっても低下させる可能性を示唆している。また、この防御効果は時間経過とともに減衰するが、3回目のブースターワクチン接種によって、少なくとも一時的には回復可能であると考えられる。

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